「ダート・プロシージャ」はアレクサンダーテクニークの学習を補うワークです。作ったのは人類学者のレイモンド・ダートで原人「アウストラロピテクス」の化石発見者として有名な人です。

実はこの人、アレクサンダーテクニークの経験者だったんです。南アフリカに滞在していたんですけど、イギリスからアレクサンダー氏の愛弟子、アイリーン・タスカーが旅行でやって来た時に出会ってレッスンを受けたんです。
ダート氏はアレクサンダーテクニークにたいへん感銘して、すっかりハマりましたが、やがてアイリーンも帰国することになり、あら残念・・・
そこで自分の学者の知識を使って、人間の動きや姿勢に関する研究を始めました。そこで見つけたのが「筋膜の二重らせん構造」でした。頭から背中、肩から腕、腰から脚へと、関連した筋肉同士がらせん状に配置していることに気がついたんです。

その緊張度(トーヌス)が崩れた結果が、猫背や丸腰の悪姿勢の原因となり、肩凝りや腰痛が起こると考えました。そこで二重らせんの筋膜ルートのトーヌスをニュートラルに戻すための方法を考案したわけです。これが「ダート・プロシージャ」です。

アレクサンダー氏の死後、W・カーリントン氏がトレーニングスクールを引き継いで、レッスンの一環としてこの手順を用いましたが、当時のアレクサンダー界では賛否両論というか、どちらかというと不評でした。
理由は「アレクサンダー氏のレッスン方法とはやり方がまったく異なる、そういう他流のものを持ち込むのはけしからん!」という、まあよくありがちな話ですね。
でもそれは別として考えると、体の知覚度を向上させて、二重らせんの筋膜のニュートラルを可能にするエクササイズ。前ブログの「アレクサンダーテクニークの体の休め方」~セミスパインの延長として、おこなうとなかなか気持ちの良い体験ができますよ!

やはり体操というよりよりは、あくまでもマインドフルネス瞑想のように、今この瞬間の自分の体の状態に目覚めるのが目的です。
ここを間違えると、ただゴロゴロ寝ているだけの無意味なワークとなってしまい、肝心な領域、つまり「アウェアネス(知覚作用)」を探求することができなくなってしまいます。
それでは実践開始、やり方は次回のブログで公開します!